抽斗(ヒキダシ)
作り出すことや表現への憧憬
地下鉄東西線『円山公園駅』ゆったりとした住宅街を10分ほど歩く。
実はこの辺り、感度の高い名店がいくつも存在するエリアでもある。
ここ抽斗は、そんな円山エリアで、どこか秘密基地を思わせる趣のある一軒だ。
凛とした空気を纏う
小料理とナチュラルワイン、丁寧に造られた空間に、心地の良い音と時間が流れる。
店主は、イマジネーションに富んだ職人気質のソムリエである。
『自然と芸術を愛する人々に愛されるシャンパーニュ』
はじめの一杯目は、30年以上一切の農薬を使わずブドウ栽培を実践しているという、ドラピエのシャンパーニュ。
Carte d’Or Brut (NV) Drappier / カルト・ドール ブリュット(NV) ドラピエ
産地:フランス / シャンパーニュ地方
品種:ピノ・ノワール種85%、シャルドネ種10%、ピノ・ムニエ種5%
アラカルトで小料理を
コンテンポラリーな和食ベース、北海道ならではの料理。
人気の鮪料理も麹和えにしてみたりと、お造りとは違った乙な味わいを楽しめる。まさに酒の肴だ。お品書きに並ぶ小料理とお食事は、どれもお酒が進みそうである。
料理と器の温度差
『生うに、とうもろこしポタージュ、昆布だしとガラムマサラ』
稚内のうにと、とうもろこし、ガラムマサラにさりげなく演出された洗練を感じる冷たいスープ。
作家、永瀬二郎さんのひんやりとしたアルミの皿との対比も美しい。
ミュージアムやギャラリーのような空間でいただく心地の良いヴァンナチュール
Les Tailles 2020 / レ・タイユ
生産者: JC Garnier ジャン・クリストフ・ガルニエ
生産地 : ロワール フランス
品種 :カベルネ・フラン、 カベルネ・ソーヴィニョン
鶏むね肉と酒粕のザンキ青唐辛子のタルタル
ガルニエのピュアで可憐な一杯と、酒粕ザンギの絶妙な組み合わせ。
サンギは北海道の唐揚げであり、一般的に濃いめの味付けのことが多いが、鶏むねと酒粕を使ったここのザンギはとても繊細だ。 青唐辛子のタルタルとの組み合わせも巧みである。
松村ソムリエセレクト『抽斗』の気になるナチュラルワイン
「まずは、ピノノワールとピノグリメインのスイカを連想させるオーストラリアの微発泡。ロワールからは、サラッとしているけど旨味たっぷりのクザンの白、そして、オーストラリアのヴェルシュリースリング、カチッと醸しが効いている。赤は、最近僕が好きなアントニークーリーのコカーニュ、お気に入りのサヴォアのガメイ、サヴォアは特徴ある産地で、白も好きなワインがあります」
(左から)
ASH RASH 2021 BORACHIO / パッシュ・ラッシュ 2021
生産者:ボラーチオ
生産地:ヴィクトリア オーストラリア
品種:ピノ・ノワール 40%
ピノ・グリ 40%
シャルドネ 20%
GRGR 2020 Baptiste Cousin / グルグル 2020 バティスト・クザン
生産者:バティスト・クザン
生産地:ロワール フランス
品種:グロローグリ
エチケット下部には『波に合わせて泳ぐのは死んでいる魚だけ』と書かれている
WELSCHRIESLING 2018 RENNERSISTAS / ヴェルシュリースリング 2018 レナーシスタ
生産者:レナーシスタ
生産地:ブルゲンランド オーストリア
品種:グロローグリ
Cocagne 1 2018 / Antoine Couly
生産者:アントワーヌ クーリィ
生産地:サヴォワ フランス
品種: ガメイ
店主の感性、シェフの技でつくる酒場の肴
「メニューはシェフと僕と、話し合って考えています。シェフの技術ありきですが、抽斗のイメージするものを提案すると、それをさらに良くして表現してくれるのです」
「抽斗」は、食、工芸、アート、文化… 異なる分野のいろいろな創造性が集まっている場であり、ここで過ごす時間はそれらの融合をライブで体感できる上質なひとときとなるだろう。
店主ソムリエ 松村恵太
函館出身、銀座や西新宿にあるダイニングバーでのを経て、ソムリエ資格を取得。その後、広尾のビストロ勤務など12年の東京での修行を経て、地元北海道に戻り札幌「月下翁」のソムリエを務める。2022年4月にオープンした『抽斗』の店主として、独自の世界を創作している。
シェフ 米良直人
札幌出身、肉料理が得意。店主とオーナーの作り出す抽斗の世界と期待に、次々とクリエイティブな料理で応える。
技とアートが点在する食の表現
一階『抽斗』は、店主の松村さんがメインとなって繰り広げられる酒場空間。
実は、ここから二階へと続く階段があり、オープン間近の『隠し部屋』へと繋がっている。中国茶、他業種との共演、お食事や喫茶、すでにSNSで気になる予告が発信されている。こちらも要注目だ。
Interview / photo / text
山脇ミチル|Michiru Yamawak
抽斗(ヒキダシ)
住所: 北海道札幌市中央区南6条西24-2-24
電話番号 : 011-522-5252
営業時間 : 16:00~24:00
定休日 : 日曜日
SNS : Facebook
※お店の情報は取材を行った(2022年7月)時点のものです。
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