Libre ( リーヴル)

路地裏のナチュラリズムとフリーダム

江戸時代から問屋街として賑わいを見せていた日本橋の東部にある馬喰町と横山町、最近何かと話題に上がるこのエリア。馬喰町と横山町の狭間、控えめな路地裏に、リーヴル(フランス語で『自由』の意)という名のワインバーがある。

1杯のグラスから物語が始まる

グラスに注がれたナチュラルなワインとの出会い。本日の1杯目は、ドイツ、ラインヘッセンのビオディナミのリースリング。ボトルに描かれた石畳の向こうの白い壁にも、青い空に浮かぶ「d.b」の文字が映る。生産者シュミットのご夫婦、ダニエルとビアンカのイニシャルだ。

ドイツ、オーストラリア、南アフリカ、オーストラリア…、これまで8人の生産者達がここを訪れ、店内に愛らしい落書きや、名を残している。

ソムリエ店主による本日のメニュー

少しずつ集めたお気に入りの作家による器たちにも、店主のセンスや遊び心を感じる。

グラスでワインを提供するというこだわり

「数が少なくて手に入りにくいワインは、ごく一部の場所で消費されてしまう。自分も飲む機会がなかったり、限られた人達しか楽しめなかったり… そんなワインを知ってもらいたい、出会ってもらいたい。グラスで一杯ずつ提供をしたら、1つのボトルでここにいる6人が楽しむことができる。ワインって人と人との繋がりを深め、不思議なご縁をもたらす飲み物。同じワインをたまたま居合わせた人と共有する。ここには、ひとりで来てもひとりじゃない」

グラスワイン、人と人とのご縁、時間と空間、彼の想いがカウンターに伝わる。

ソムリエの作る肴

一品目は出来立ての『タコと長芋 大葉のジェノベージェ』
大葉が爽やかなジェノベージェにタコと長芋の食感のコントラスト、ナチュラルワインに合うように改良したと言うだけあって、この日のシュミットのリースリングとの相性も抜群。

根菜もワインに寄り添うリーヴル仕立て

『キンピラごぼうとブルーチーズ』
繊細にカットされたゴボウとニンジンを、オリーブオイルと秘伝の味付けでキンピラに。 目の前で削ってくれたブルーチーズがふんわり香る。

カウンターで夕めしの醍醐味

『本日のソーミンチャンプル』
ソーミン(素麺)+チャンプル(ごちゃ混ぜ)、ソーメンじゃなくてソーミンという沖縄にオリジンをもつ上原さんのこだわり。

ワインは南オーストラリアのBKワインズのグルナッシュ2017
野生酵母で100%全房醗酵、酸化防止剤不使用、清澄剤不使用、ノンフィルター、それでいてエレガント。

リーヴルといえば…

今宵もカウンターには一期一会の出会いが集まってきた。
みんなで分かち合いたいボトルは…
ソムリエ上原さんの想いの詰まったボトルを見せていただく。

「リーヴルと言えば、どうしてもムスター!ミネラリーでキュッとドライ、凛とした酸。一度飲み頃についてムスターに尋ねたら”人それぞれ”という答えが返ってきた」

Sepp & Maria Muster Gräfin ムスター グレーフィン/オーストリア シュタイヤーマルク州
ソーヴィニヨンブラン

Gentle Folk ジェントルフォーク/南オーストラリア州 アデレートヒル Scary Gully
ピノノワール2015
 
Lucy Margaux ルーシーマルゴー/南オーストラリア州 アデレートヒル
ワイルドマン・ルージュ メルロー

キーワードは店名そのまま『自由』

話をしていたことが、そのまま次々と目の前で展開されていく夜。
気がついたらおひとりさまで埋まっていたカウンター、ジェントルフォークのスケアリーガリーピノノワールをみんなで分かち合う。格別な時間である。

オーナーソムリエ
上原剛

以前、ソムリエ・マネージャーとしてフレンチレストランで働いていた時に、自然派ワインと出会う。
当時は一本のボトル差や、毎年の味の変化などの不確定要素に難しさを感じ、レストランでは安定したオーセンティックのワインを提供する機会の方が多かったという。それでも美味しさ面白さに魅せられてゆく。そんな時に、ご縁があり、馬喰町と横山町の境界、新道(しんみち)通りという、控えめな路地のこぢんまりとしたカウンター物件を受け継ぐことになる。レストランよりも近い距離で、人とナチュラルな造りのワインを繋ぐ『リーヴル』。そのカウンターに立ち独自の世界を生み出す。

「フランスワインはもちろん大好きだけど、フランスやイタリアのナチュラルワインを飲めるお店はすでに、近隣にいくつかあるので、オーストラリア、南アフリカ、ギリシャ、オーストリアとか、スロベニアとか、脚光が当たる機会の少ない国のナチュラルワインを積極的に紹介したい」

馬喰町エリアは、お店も人も増えているので、先人や新しく参入してきた近隣の人たち交流もしながら、地域とナチュラルワインで相乗効果がうまれるような面白いことをしていけたら、っと語る。

7席のL字カウンター 「全ては人とワインのために」

「自由なワインだったり、自由な空間だったり、自由がひとつのキーワードで自分がやりたいこととしっくりくる」

リーヴルな上原さん、まさにこのカウンターを醸す野生酵母のような存在だ。


Interview / photo / text
山脇ミチル|Michiru Yamawaki

Libre(リーヴル)

住所    東京都中央区日本橋横山町3-4
電話番号  080-7890-9623  
営業時間  18:00~23:00
定休日   不定休
Official Site :WEB SNS instagram

※お店の情報は取材を行った 2022 年5月のものです。
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