Quindi (クインディ)
僕ら『だから』できること
懐かしさと洗練が入り混じる、代々木上原。
Quindiはこの街に溶け込み、幅広い世代に愛されている場である。
『勿体無い食材』を活かしたい
店内に入ると正面には開放的な厨房が目に入る。
「畑で採れすぎた作物が行き場を失い廃棄されたり、お肉なども需要の高い部位以外が余剰になって棄てられる。こういった実情を目の当たりにして、仲間たちと場所を借りて料理教室をしたり、食事を提供したり、最初は『お店の無いレストラン』をやっていました」
その活動が引き金となり、2018年にシェフの安藤さんとQuindiという箱を持つようになり、以来、オーナーの塩原さんは今も変わらずその頃の気持ちを持ち続けている。
「作りたい料理を作っているというよりも
頂いた食材でできる料理を作っている、というイメージ」
数ページに束ねられたメニューには、料理や作り手さんの名前、生産地がしっかりと書かれている。
「生産者に、『これを下さい』という注文をすることは基本的にはなくて、農家さんの届けたいものを送って頂く。当然、その時美味しいものや、旬で沢山採れているもの、今の時期だったら、きゅうりとかズッキーニとかそういうものがいっぱい送られてくる。魚屋さんにも、カルパッチョ作りたいから真鯛を下さいとかではなくて、今日お薦めの白身を伺い調理法を考える。お肉も、今、何があるかという事を前提に料理を組み立てる」
まさに生産者との連携プレーである。
「生産者の考えに共感できるものをお食事とお届けしたい」
ワインの酒屋さんだけあって、グラスワインも豊富。
日によって、白4種類、赤4種類、泡、ロゼと10種類ほどのグラスワインが楽しめる。生産者が届けてくれる旬の食材との共演。
この日巡り会えたグラスの赤ワインは、繊細な果実味に柔らかな酸、果てしない可能性を秘めた三笠のタプコプ畑のピノ・ノワール。
タプ・コプ ピノ・ノワール 2020
Kondo ヴィンヤード 三笠市 北海道
ピノ・ノワール
心にも身体にも優しい
野菜の彩り
『日本中の野菜』Verudure in Giappone
日本中の農家さんが届けてくれる、今一番美味しい野菜とQuindiの厨房のライブセッション。
琵琶湖の固有種であるビワマスを
『滋賀 琵琶鱒』コンフィ
3〜4年琵琶湖で過ごすというビワマスは、鮭と同様に母川回帰の習性があるが、海ではなく琵琶湖に下る。とても味わい深い。田鶴さんのマクワウリのピュレと山梨から届いたコリンキーのマリネと合わせ、シェフお手製のイクラを添える。人参の葉っぱのソースとの組み合わせも絶妙だ。
繋がりや共感を伝える
ボトルワインはワインショップのセラーの中から直接選び、食事と共にサービスしていただける。
「僕はあんまり細かい話はしたくないのだけど、想いは沢山ある」
塩原さんの本日のピックアップのお話を伺おう。
ロッソ・デル・パラッツォーネ
生産者・Il Palazzone
生産地・トスカーナ州 イタリア
品種・サンジョヴェーゼ・グロッソ種
今、みんなに飲んでもらいたい一本。このワインのインポーターはイタリア人のルカさん、小さなワイナリーの事、イタリアワイン事情など、とても詳しくて話も面白い方なのだそうだ。イル・パラツォーネのロッソは、ブルネッロ D.O.G.C.を作るのと同じブドウ、サンジョヴェーゼ・グロッソ種 100%で作られている。もともとブルネッロなのだけど、ヴィンテージを合わせてしまった。突出したブドウをより美味しくバランスを取るためにヴィンテージを合わせているので、ブルネッロを名乗らなず、しかも美味しくてお得なワイン。
ヴァルファッチェンダ ロエロ・アルネイス D.O.C.G 2019
生産者・Valfaccenda
生産地・ピエモンテ州 ロエロ イタリア
品種・アルネイス
日本でもっと知ってもらいたいロエロのアルイネス。塩原さんがロエロに2ヶ月ほど滞在してた時に交流のあった、同世代のワインを作っている人たちが、アルネイスにはもっと可能性があるはずだとこの先のワイン造りに対し真摯に対峙していたという。それが、これまでの単にフレッシュでフルーティーだけではない、魅力あるアルネイスを作り出している。
KURISAWA BLANC 2020
生産者・ナカザワヴィンヤード
生産地・岩見沢 北海道
品種・フィールドブレンド
日本のワインを知りたくなったキッカケは、一番最初に訪れた日本ワイン生産者の中澤さんだった。中澤さんも東京に来る時には寄ってくれたりと、ずっとお付き合いがあるという。トスカーナのトラットリアで「俺の友達の作ったキャンティー美味しいに決まっている」と店主が自信満々に勧めてくる感覚と似ていて「中澤さんが作っているワインだから美味しいに決まっている」という1本。
厨房から家庭のキッチンへ
「レストランの中にショップスペースを作りたかった」
メニューに書かれてあったことや、使った調味料などを家に持って帰ってもらって、家庭でも使ってもらえたり、家族での会話が生まれたり、知ってもらえるキッカケになる場所を作りたかったという。
食から広がる縁で「飾る皿ではないから皆んなに使って欲しい」というコレクターの方の意向を繋いで、一ヶ月という期間限定で伊万里の食器が並んでた。使っている状態でお見せしてご家庭の食卓に取り入れてもらえればと、柄の強い美しい伊万里の器を使ったコース料理のイベントも催された。
生産者と家庭の食卓を繋げる
塩原 弘太 Quindiオーナー
ソムリエであり、オーナーとしても数多くの企画などを手掛け、サービス、運営全般に携わる。店を出す前に修行のために滞在したイタリア・ピエモンテ州での経験や、そこからの繋がりを活かし、レストランであるQuindiで、ワインショップ、お店で使っている調味料などの物販コーナーも展開。生産者とのコラボ等も手掛ける。また2021年には、日常に寄り添う惣菜屋『tutti』、隠れ家のようなバー『Non Capiscono Niente』をオープン。「みんなのキッチン」という想いを込めた名前のtuttiでは、店裏にコンポストを置いたり、いらない洋服の回収をしたりと多角的な取り組みを試みており「飲食業として、どこまで環境に配慮できるか」という課題に挑む。
tutti (みんな)
Non Capiscono Niente (全然わからない)
Quindi (だから…)
「環境配慮などしたいと考えたとしても、実際なにをしたらいいのかわからない。
僕らも全然、わからないー笑。みんなよくわからないので、だから どうしていきましょう?」
グローバルに考え、ローカルな繋がりを大切に、できることを楽しみながら…
そんなQuindiの問いかけには、心を整えるヒントが散りばめられている。
ゆったりと配置されたテーブル
広々とした店内、しっとりとしたシックな雰囲気ながら、お子様連れにも対応。
(☆お子様を含むご予約、5名様以上のご予約はお電話でご相談を!)
Interview / photo / text
山脇ミチル|Michiru Yamawaki
Quindi(クインディ)
住所 東京都渋谷区上原2-48-12
東洋代々木上原コーポ 101
電話番号 050-5456-8683
営業時間 11:30~14:00(L.O.)
18:00~22:00(L.O.)
日曜営業
定休日 なし
Website
Facebook
※お店の情報は取材を行った(2022 年)時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニューなど、店舗情報についての最新の情報はお店のSNS、または、
店舗に直接ご確認ください。営業時間やメニューなど変更になっている場合もございます。