前回造り手のお2人に会ったのは、昨年の夏。
繁忙時期なのに快くお時間を作って下さいました。
何度かお誘い頂いた昨年の収穫期ですが、残念ながらタイミングが合わず…泣
今回は念願の収穫!!11月1週目に再訪となりました!
荻野さん!お忙しい中、貴重なお時間を頂きまして本当にありがとうございました!
お2人と畑で収穫、醸造所にてお話したことを出来る限りテキストしました。
私村瀬フィルターではございますが、お人柄やワインに対するパッションを少しでも何か感じていただけたら幸いです。
《どうしてこの地を選んだのか》
醸造所と畑は、長野県東御市。
約8年前くらいに移住し、お2人ともそれぞれのご実家とは無縁の場所。
造り手になる前は、東京の飲食店に勤務し、いろんなワインに触れ合ってきたお2人。
長野県東御市の特区制度があったこともあり、
お2人の力量で可能なワイン造りを考え、2016年ごろから本格的に稼働。
ちなみに…
奥様の地元は北海道網走。
葡萄畑もほとんど無く、有名どころの地域に対して、興味はあまりなかったそう。
旦那様は過去にグレイスで働いており、地元は山梨県。

《念願の畑へ》
今回の収穫はリースリング。
標高は920メートル。
お隣の畑は、他のワイナリーさんの畑だそう。
つまりは、造り手さんが畑にいればすぐにセイハローできちゃう距離感。
ワイナリーから今回の自社畑までは、車で10分ほど。
道路を挟んで反対側もお2人の畑でシャルドネとリースリング。
畑の場所により、発生しやすい病気もあるとのこと。
ちなみに、今回収穫した畑はボルドー液は3回、最後は7月に蒔いたそうです。
奥様は、それだけで済むから健康な畑だとおっしゃってました。
個人的にもそう思います。
どの造り手さんに聞いても、畑の環境や条件は様々。
今回の畑は、樹齢8年と3年、葡萄の間引きはしない、本来の姿そのままだそう。
畑に出て気付くことは、それぞれの『樹』の樹勢の強さや弱さ。
房や樹ごとに、外観でも異なり、葡萄の粒を食べて味わいも樹ごとに違うのがとても面白かったです!
粒を摘みながら、おぉこれは濃縮感が凄い!のもあり、一概に樹勢が強いからって味の濃度とは違うのだと気づき…
いやー面白い発見💡とワクワクしながら収穫。
ちなみに…
今回の選果は、傷がつかないよう上を茎を削るのと、カチカチレーズンは無し、セミドライレーズンや貴腐菌がついた葡萄は残すやり方。
また、明らかに病的な粒は落とすとのことで神経使いますが、楽しく選果しました。
あっ、大きな鳥の声が聞こえるなと思ったら、空にトンビがいてライヴ感満載のBGMが…笑

***リースリング遅摘みの理由***
お茶とお菓子をみんなで食べながら『野良蔵休憩』しつつ話題は、
気になっていた、今回のリースリング遅摘みの理由を聞きました。
酸味が柔らかくても美味しいと思うから、とのご回答。
この時期周りの畑はすでに収穫が終わっていて、酸味を生かした瓶熟長期熟成でイメージする方もいるそうです。
荻野さんは、お2人で考えた『美味しくなる方法』と『ビオディナミカレンダー』とも合わせて、畑の管理、収穫タイミング、ワイン造りも考えています。
印象に残った言葉は…『正解は無い、不正解も何も無いと思う。』
飲み手さんに、いつ頃が飲み頃?と聞かれたことがあるそう。
それは、わからないが答え。なんだよね…
私もそのお気持ちとてもわかります。
ワインは嗜好性、人によって捉え方は様々。
そうなのです、わからないことが多くて余計に難しいと思われるお酒かもしれません。
だからこそ個人的に思うのは、飲み手さんや注ぎ手さんが正解と思えたことがベスト答えだなーと。
バイヤーとしては、あくまでも味わいの変化予想はお伝えできる範囲でし、お客様にご提案すること。
これ以外にベストな答えが見つかればなぁ…模索はこれからも続きます🙇

***葡萄の葉が落ちるのは品種によって違う?***
近隣に葡萄畑が多いので、外の景色をみて質問を…
『葡萄の葉が落ちるのは品種によって違うのでしょうか?』
お2人の答えは、畑の管理によって違うと思うとの回答。
例えば、しっかり薬を撒いているところは葉もしっかり青々していて落ちてない印象。
葡萄は落葉樹、葉が落ちるのが当たり前。
畑の様子をしっかり捉え、今季の葉の残り方なら良い出来とおっしゃっていました。
また、タイミング的にこの時期にこの落葉なら上出来とも◎
もう11月1週目、木の半分くらいは落葉が進み、少し寂しさを感じる景色。
また収穫中に葉に触れると、ひらひらと落ちてしまう儚さ。
夕暮れから夜が一気に押し寄せ、あんなに長かった夏が懐かしい…もう冬の気配。

***畑へ遊びにくる来客者***
鳥の被害はそんなに多くないそうだが、他の野生動物は食べに来るそう。
今年の葡萄にかけるネットは、さらに細かくしたとのこと。
理由は蜂!!
葡萄を食い尽くすそう。。。
実際に収穫中もアシナガバチ(結構大きめ)が収穫用カゴにフラフラと。
恐怖を感じていましたが、一緒に参加した酒屋の大先輩が収穫バサミで捉え、一躍ヒーローに!👏
荻野さんは対策として、電気のバリケードはあまり使いたくないそう。
土にも影響があるとおっしゃってました。
また、あくまでも人為的介入は少なくしたいとも。

《2025年ヴィンテージと今後のプラン》
ドメーヌのピノ・ノワールは、過去最高の収量。
今季は雨量が大きく影響しており、雨が降らなく、病気にもなりづらかったそう。
お2人とも嬉しそうに所有畑のことをお話してくれました。
奥様が収穫した畑(リースリング、シャルドネ)を、
旦那様がガメイ、ピノ・ノワール、シュナンブランを管理と二手に分かれて作業しているそう。
また次のプランとして、カジュアルなドメーヌワインも作りたいとの事。
(新たに棚仕立ての畑を所有したと情報がっ!)
ネゴシアンもこのまま続けていくが、収量は少しずつ減らすかも、ともおっしゃってました。
所有畑は昨年と3haほどで変わりないそうです。
(リンゴ畑は少し手放しているようです)

***シードルについて***
シードルは、初め作るつもりはなかったが…造り手La Cidrerie du Golfe飲んで衝撃を受け造ることを決意!
シードルはビールのように飲める事からヒントを得て、『日本のシードル』をつくりたいと強く思うようになり、
海外のものと比べがちになるけど、違う。
独自のスタイル、そうじゃなく日本スタイルの個性も伝えていきたいとお2人のパッションが熱い🍎
当時は試行錯誤の繰り返し、どうしたら外観の色が濃くなるのか…?ワザと酸化させたりしていたそう。
今も慣れることは無く、2人の探究は続いています。
お話を聞いていて印象的だったことは…
デゴルジュマンは手間がかかるが、必ずしてから出荷。
『抜栓したら半分無くなるような荒ぶるワインは作りたくない、お客様へ買わせるのはどうか?』
お2人がお客様へ渡すまでの責任感、強いメッセージを感じます。

***なぜ2種類のマスカットベリーAを仕込んでいるのか?***
マスカットベリーAは特に、日本の土着品種だと感じるお2人。
この気持ちをどうしたら伝えられるか…毎年2種類仕込んでいるそう。
新酒スタイル『ベリーA発光体』と、違う仕込み方法で今季は『ベリーA 2024』をリリース。
先ほどのシードルともリンクすることはありますが、
何かの真似をするのではなく、日本ワインとは?
を模索し表現している造り手さんだとヒシヒシ感じます。
また、ドメーヌ(※1)とネゴシアン(※2)を現在造っているが、
ネゴシアンは葡萄を100%見守れない歯痒さも感じながら造っていると。
もちろん、賛否両論、批判も感じているともお話くださいました。
お2人は、だからこそドメーヌはとことん突き詰めたい、こだわりたい、と。
日本だけでなく海外の造り手とも話になる、ドメーヌ畑なのか否かの話。
ここでは割愛しますが、どんな造り手さんも葛藤ありきでワインを造り、
飲み手さんや注ぎ手さんへ気持ちを伝えようとしている、
姿勢だけは何となく見守って頂けたら嬉しいです。
※1、自社畑からワイン造りまでの全工程を自ら行う。
※2、自社畑ではなく、他の農家さんからブドウ買い、ワインを造る。
レヴァンヴィヴァンのワインはこちらから👇
https://wine.swailife.com/products/list?category_id=627
【あとがき】
昨年お伺いした時も感じていたのですが、今回もまた…
レヴァンヴィヴァンは信念の強い造り手さんで、
常に飲み手のことを想い続けているのがとても印象的でした。
造り手なんだから、信念は当たり前にあると思われがちですが、
挫折したり、妥協したり、揺らいだり…
出来る限り造り手さんを毎年追いかけていると、
液体の中で時々気持ちの『迷い』みたいな事を感じることもあります。
人間だもの、気持ちの波があるのは当たり前だと思っています。
また、ワイン造りを続けていく『勇気』と、信念を持ち続ける『モチベーション』は、
人によって熱量が異なるのも当たり前。
来年もまた畑に行けたら良いな、お2人のことをもっと知りたいなと感じる収穫でした。
長々と独り言のような体験談でしたが、ご一読ありがとうございました!
引き続き、貴方の好きな造り手さんに出逢えますよーに!!
村瀬 藍

