二コラ・カルマラン

≪歴史:パリの成功からアヴェロンの急斜面へ≫

ニコラ・カルマラン氏は、ワイン生産者としては非常に異色のキャリアを持っています。彼はかつてパリで、初期の自然派ワインの普及に大きな役割を果たした伝説的なビストロ「カフェ・ドゥ・ラ・ヌーヴェル・メゾン(Café de la Nouvelle Mairie)」のオーナーを務めていました。

成功を収めたビストロを離れ、自身のルーツである南西地方アヴェロン県へ帰郷し、ワイン造りのキャリアをスタートさせたのは約17年前(2008年頃)のことです。彼が選んだのは、厳しい山岳地帯に位置し、ワイン造りが途絶えかけていたこの地方のテロワールでした。

≪哲学:地元品種の復興と山岳テロワール≫

カルマラン氏のワイン造りは、「ル・ヴュー・マズゥ(Le Vieux Mas)」と呼ばれる彼の畑がある村の、厳しい自然環境と地元品種への深い愛情に基づいています。

  • 地元品種の尊重: 彼のワインは、アヴェロンに古くから伝わるネグレットフェル・サーヴァドゥといった地元品種(地品種)を主体としています。これらは、フランスの他の地域ではほとんど見られない、この土地固有の個性を持っています。
  • 急斜面と非介入: 畑は、石英や片岩、花崗岩が混じる急斜面に位置しており、作業は非常に困難です。彼はこの厳しい環境で有機栽培を実践し、土壌の健康を維持しています。
  • ナチュラルな醸造: カーヴでは、天然酵母による発酵、最小限のSO2添加、無清澄・無濾過を基本とするナチュラルワインの哲学を徹底しています。これは、彼のパリでのビストロオーナー時代に培った、「ブドウとテロワールが持つ本来のエネルギーを尊重する」という確固たる信念に基づいています。

≪ワインの特徴:孤高の人気と個性≫

カルマラン氏のワインは、彼がパリの自然派ワインシーンのパイオニアであったことから、特にパリのトップ・ビストロで絶大な支持を得ています。その人気ぶりから、地元アヴェロンのワインでありながら、パリでは入手困難なほどのステータスを確立しています。

彼のワインは、山岳地帯特有の引き締まったミネラル感と、地元品種がもたらす野生的な果実味、そしてピュアな飲み心地が特徴です。都会の喧騒から離れ、孤高の地で造られるその個性豊かなワインは、飲む者にアヴェロンの風景とカルマラン氏の情熱を強く感じさせます。

インポーター:ピコルーズ

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