
≪異色の経歴:世界で磨いた知識と技術≫
ローラン・バルツ氏は、アルザスのワイン産地の中心コルマールから北に数キロのベンヴィール村に位置する、バルツ家の3代目オーナーです。
彼のキャリアは、極めてアカデミックかつ国際的です。
- 醸造学の追求: ディジョン大学で醸造学を専攻し、国家資格である「醸造学者」に合格。
- フランス国内での経験: ボルドーのグラン・クリュ1級格付けのシャトー・ムートン、シャンパーニュ地方、ボジョレーといったフランスのトップエリアで経験を積みました。
- 世界での研鑽: さらにワインへの飽くなき興味から、南アフリカ、カリフォルニア、インド、オーストラリアなど、世界各地のワイナリーで働き、幅広い知識と腕を磨きました。
≪真摯な仕事人:孤独な作業と哲学≫
1998年に父親が亡くなった後、ローラン氏は実家に戻ってドメーヌを継承しました。彼はすぐには元詰めを行わず、2003年までの5年間を費やし、ブドウを協同組合に売りながら、自社畑の研究とビオロジック農業への移行という準備期間に充てました。そして2004年に初めて自身のワインを醸造しました。
ご提示情報にもあるように、「一人で畑仕事をして過ごす時期が好き」という根っからの仕事人であるローラン氏。その真面目な性格は、彼のワイン造りの哲学に深く反映されています。
- モットー: 「この土地らしい個性を持ったワインを造ろう」がモットーです。
- 凝縮度の追求: わずか3.5ヘクタールを27ヶ所にも細分化された区画で所有していますが、それぞれの土壌の個性を生かし、認可量の半分以下にまで生産量を落として、より凝縮したピュアなブドウを作るよう心がけています。
- 栽培: エコセルト認定のビオロジック農業を実施しており、コンポストにはビオディナミの調合剤を使用するなど、自然な方法で土壌の生命力を高めています。
- 収穫と選果: 収穫は手摘みで、畑と醸造所の選果台で2度にわたって厳選されます。
≪醸造とワインの特徴≫
畑での徹底した作業のおかげで、醸造ではブドウ本来の力を尊重する手法が採られます。
- 天然酵母: 天然酵母で発酵が行われ、白ワインの発酵期間は作柄や区画によって6週間から8ヶ月と様々です。
- 繊細な配慮: 収穫はブドウの温度が上がらないうちに実施されるなど、デリケートな部分にまで配慮がなされています。
- 味わい: 彼のワインは、ピノ・グリやピノ・ダルザス、リースリング、ミュスカ、ゲヴュルツトラミネールといったアルザスの主要品種を用い、複雑な地質がもたらす力強いミネラル感と、優しくも豊かな果実味が特徴です。
高度な醸造学と世界の経験、そして真面目な仕事人としての姿勢が融合したローラン・バルツ氏のワインは、アルザスのテロワールを最大限に生かした、純粋で飲み心地の良い逸品です。
インポーター:ピコルーズ



