ミクロ・ビオ・ワインズ

詳細・歴史

ミクロビオ・ワインズは、スペインのセゴビア地方で今最も注目を集めている生産者です。徹底して自然と共生し、サスティナブルな農法を用いながら、驚くほど高樹齢のブドウを育てる、SO2をほぼ使用しないナチュラルな造り手として知られています。当主のイスマエル・ゴザロ氏は、代々ブドウ栽培を手掛けるヴィニュロンの家系の5代目にあたり、2020年でヴィニュロンとして28回目の収穫を迎えました。彼は所有する畑から採れるブドウの60%を売却しており、特に優れた区画のブドウのみを自社用に使用しています。自社畑の広さは28.5haにも及び、そのほとんどに白ブドウのヴェルデホが植えられており、主に白ワインを中心としたキュヴェを手掛けています。しかし、世界中でひっぱりだこの微発泡「ペット・ナット」や、醸し(スキンコンタクト)による美しい色合いの個性的なキュヴェ、希少な黒ブドウ品種ルフェテによる赤ワインにも定評があります。畑は全て徹底した無農薬で管理されており、有機農法の認証を受けていますが、イスマエル氏の信念により、あえてワインのラベルには「オーガニック」の言葉を表示していません。イスマエル氏は、フランス・ジュラ地方のビオディナミの雄である「ドメーヌ・フランソワ・ガヌヴァ」の当主ガヌヴァ氏と親交があり、ワイン造りに対するフィロソフィーを共有しています

畑・土壌・樹齢

イスマエル・ゴザロ氏は「土壌の違いはワインの違い」と言い切るほど土壌にたいへん拘りをもってワイン造りを行っています。所有するブドウ畑はほとんどが砂質土壌で、主に「川の水のミネラルの影響を受けた甘い砂」、「海水のミネラルの影響を受けた塩味のある砂」(大昔この一帯が海底だったことから)、「強い風の影響を受けた乾燥した細かい砂」の3つのタイプに分かれると言います。基盤となる地質は砂、砂利、粘土が混じっていますが、大部分を砂質が占めているため、これまでほとんどフィロキセラの被害を受けてきませんでした。これは、害虫であるアブラムシがブドウの根を目指して穴を掘っても、サラサラとした砂がすぐに崩れてしまい、地中で窒息してしまうためです。それゆえ、畑のブドウ樹は全体的に樹齢が非常に高く、一番古いものではなんと270年にも及ぶ樹齢を誇ります。樹齢が100年〜270年に達するブドウの房は、ヴェルデホの場合ひと房の重さがわずか80gほどと小さく、果粒は非常に凝縮しており、ワインに得も言われぬ深みを与えることができます。高樹齢のブドウ樹は台木に接ぎ木をする必要がないため、若木を育てる際は、特に優れた株を選び、その枝を地面に直接植えて苗木にするか、マルコタージュによる株分けが可能になります。イスマエル氏はブドウの味わいの違いとなる核は「ミクロクリマ」にあると考えており、区画を細かく分け、「風通し」や「ブドウの房の大きさ」、「ブドウの熟度」といった独自の基準を設けて、「1級」や「特級」などの独自の標識を立て、特に優れたブドウを選定して自社詰めワインを造り分けています。畑の標高は800〜900mで、年間降水量は約250mmです

収穫・醸造

毎年生産するキュヴェは20〜30種ありますが、それぞれの本数が少ないため、総生産量は5〜6万本にとどまっています。収穫を開始する時期は周辺のワイナリーよりも遅く、カビや病害のリスクを負ってでもギリギリまでブドウを完熟させています。同じ品種でも区画によって異なる成熟度を見極め、キュヴェを造り分けるため、収穫時期もそれぞれに異なり、一般的には1週間で終わるところを、ミクロビオ・ワインズでは6週間にも渡って行われます。このように違うタイミングで収穫されたブドウは、酸度、熱度、糖度が違い、そこに土壌の違いによる要素も加わるため、同じ品種でありながらもキュヴェごとに様々な表情が見事に表現されています。醸造においては、イスマエル氏は鋤やバスケット、タンクなど、代々受け継がれてきた多くの道具を大切に用いています。例えば、祖父の代から使われてきた500Lの小さな垂直式の圧搾機は、雑菌の繁殖を防ぐために枠の部分をステンレス製に作り変えるなど、道具たちと上手に付き合っています。また、アンフォラは100年以上に渡って大切に使い続けられてきた特別なものです。酵母は天然酵母のみにこだわり、正に自然の要素が絡み合った、毎年違った表情の現れる個性的なワインが生まれています

インポーター: ラフィネ

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