≪哲学:「ヴォルヴェール」に込められたスペインワイン復興への情熱≫
ボデガス・ヴォルヴェールは、2004年に醸造家ラファエル・カニサレスによって設立されました。ワイナリー名の「ヴォルヴェール(Volver)」とは、スペイン語で「帰る・戻る」を意味します。この名前は、カニサレス氏の醸造哲学そのものを表しています。
その使命は、低収量や後継者不在により失われかけていた古樹の土着品種が育つ古いブドウ畑を再び蘇らせること。そして、それを通じて高品質なスペインワインの地位を再構築することにあります。
カニサレス氏は、大学で醸造学を体系的に学んだ知識と、曽祖父母の代から4世代にわたるブドウ栽培の伝統を融合させています。彼は、「良いワインには少量生産で健康的な完熟ブドウが不可欠」と語り、粘り強さと情熱をもって、この土地のワインが持つ高い潜在能力を最大限に引き出すことに人生を捧げています。
≪栽培・醸造:サステナビリティと超低収量の追求≫
ヴォルヴェールは、D.O.ラ・マンチャ、D.O.アリカンテを中心に、D.O.フミーリャなど、スペイン国内の優れたテロワールを持つ複数の地域でワイン造りを行っています。
1. サステナブルなブドウ栽培
同ワイナリーは、創業当初からサステナブル(持続可能)な栽培手法を採用し、年々、より環境に優しい手法へと移行しています。ブドウ畑ではテロワールと自然環境を最大限に尊重し、収穫はすべて手摘みで厳しく選別されます。人の手による干渉を最小限に抑えることが、土着品種の個性を引き出す唯一の方法だと考えています。
2. 大陸性気候と石灰質土壌のテロワール
- D.O.ラ・マンチャ: 「水のない土地」を意味する名の通り、年間降水量が極めて少ない乾燥した大平原に位置します。自社畑は標高660〜700メートルの高地にあり、冬の寒さと夏の昼夜の大きな寒暖差がブドウの成熟に理想的です。痩せた白亜質と赤色粘土質の土壌は有機栽培と乾地農法を可能にし、株仕立て(ゴブレ)で剪定されたブドウは1株あたり1〜3kgという超低収量に抑えられます。
- D.O.アリカンテ: 内陸部の標高600〜750メートルの高地に広がる「タリマ」の畑は、年間降水量わずか150mm/㎡という過酷な環境にあります。ミネラルに富んだ石灰質土壌と極度の乾燥は、酸と糖度のバランスに優れたブドウを育みます。特に、フィロキセラに強く、接ぎ木をしていない自根のモナストレル(180ha)の古樹が残されているのが大きな特徴です。この地にはヨーロッパ最大の大理石採掘場があり、土壌の豊富なミネラル分を証明しています。
インポーター:ミレジム


