生産者とプロジェクト概要:リオハ・オリエンタルからの声
ボデガス・カルロス・マソは、スペインのラ・リオハ州東部(リオハ・オリエンタル)に位置する、人口約2,700人の歴史あるアルデヌエヴァ・デ・エブロ村で、カルロス・マソ氏とイザベル・ルイス氏の夫婦が営むワイナリーです 。彼らのプロジェクトは**「Vinos En Voz Baja(ヴィノス・エン・ボス・バハ)」**と名付けられており、「バハの声をワインで届ける」という意味が込められています 。
当主のカルロス・マソ氏は1984年生まれで、村で代々続くブドウ農家の息子です 。ワイナリーは2021年に設立されましたが、ワイン造り自体は2012年から、イザベル氏と共に実家の倉庫で少量のボトリングからスタートしました 。彼らは、自分たちが生まれ育ったこのエリア(現リオハ・オリエンタル)ならではのワイン造りをすることで、この土地を次世代に伝えていくことに情熱を注いでいます 。
栽培哲学と畑の特性:伝統的な自根栽培
カルロス氏は大学で生物学と醸造学を修めた後、リオハ、チリ、ナバーラなど国内外で経験を積みました 。その経験は、この地がもともとガルナッチャを主体とした地場品種が栽培されていた歴史を踏まえ、それらの品種の優位性を探ることに注がれています 。
彼らが所有する畑は、海抜360mから380mに位置する10区画、トータルで6haです 。一番標高の高い区画はヤサ・デ・ラ・クエヴァで、450mに達します 。ブドウ栽培は完全オーガニックにて行われ 、仕立ては基本的にゴプレ(株仕立て)で、接ぎ木なしの自根が主です 。畑仕事はカルロス氏と彼の父親の二人で行われています 。土壌は基本的に石灰ベースの砂質土壌で、雨が少なく有機質の少ない乾燥した環境にあります 。
主な栽培品種には、白ブドウのヴィウラ、パセラ、テンプラニーリョ・ブランコ、グリブドウのガルナッチャ・ロヤ、黒ブドウのガルナッチャティンタ、グラシアーノ・デ・アルファロ、ティンタ・ヴァラスコなど、多様な地場品種が含まれます 。
醸造哲学:最小限の人的介入と自然発酵
醸造においては、ブドウを除梗せず(全房)にフレンチオークの古樽を使用し、温度コントロールをせずに野生酵母で自然発酵させます 。発酵後は古樽(一部新樽も使用)で約1年間の熟成が行われます 。
マロラクティック発酵は赤ワインでは行われますが(例:コストンプレス・ティント )、白ワインでは行わないキュヴェもあります(例:コストンプレス・ブランコ )。瓶詰めの際には必要最低限のSO2が使用され、無濾過・無清澄にて行われます 。また、中には「エル・アウトサイダー」のように、突発的なアイデアから生まれSO2フリーでガラス瓶で熟成されるキュヴェも存在します 。
主なキュヴェの特性:土地の本質を映すワイン
彼らのワインは、リオハ・オリエンタルの歴史的ワイン産地としての魅力を伝え、ワイナリーでの仕事ぶりが透けて見えるような、葡萄の持つ本質を表現することを目指しています 。
- コストンプレス・ブランコ (Costumbres Blanco):ヴィウラ、パセラ、ガルナッチャ・ロヤなどの地場品種をブレンドし、この地域の本質を知ることができる白ワインです 。
- バリオ・パストーレス (Barrio Pastores):アルデヌエヴァ・デ・エブロ村にある区画のガルナッチャ100%の赤ワインで、イザベル氏の祖父が子どもたちのために植えた樹から始まるキュヴェです 。
- エロシーボ (Erosivo):標高450mのシングルヴィンヤードで、樹齢70年超(1950年代植樹)のブドウから造られ、生産本数がわずか790本という希少性の高いキュヴェです 。
- エル・アウトサイダー (El Outsider):SO2フリーで造られた、シンプルで繊細な赤ワインで、「毎日の食事と共に楽しむことができるワインを作ってみよう」というアイデアから生まれたキュヴェです 。

インポーター: ラフィネ


