≪異色のルーツ:トスカーナの伝統とパリでの経験≫
マッティア・カルファーニャ氏は、イタリア・トスカーナ沖の美しいジリオ島にある歴史的なワイナリー「アルトゥーラ」の息子として生まれました。19歳からワイン造りのキャリアをスタートさせ、ジリオ島の険しい段々畑で、家族とともに土着品種を扱う中で、「畑でもワイン造りでも、その土地に敬意を持ち、何も足さない、引かないこと。本物のワインを造ること」という哲学を確立しました。
その後、実家のワインを流通させるためパリに移住。そこでケータリングシェフやレストランシェフとして活躍し、あのアラン・デュカスも顧客に持つなど、イタリア食材のディストリビューターとしても手腕を振るいました。このシェフとしての経験と食への情熱が、現在のワイン造りにも深く結びついています。
≪オーヴェルニュへの帰還と「レ・ルシル」の誕生≫
シェフとして多忙な日々を送る中でも、マッティア氏の心にはワイン造りが常にありました。特に、フランス中央山塊に位置するオーヴェルニュ地方のテロワールに強く惹かれ、ワイン造りへの復帰を決意。
2019年、彼はオーヴェルニュ自然派ワインの重要人物である「レ・グラッピーユ」のマニュエル・デュモラ&カトリーヌから、そのカーヴと1ヘクタール弱の高樹齢のガメイ・ドーヴェルニュの畑を引き継ぎました。これが、イタリア人として初めてオーヴェルニュでワイン造りを始める、ドメーヌ・レ・ルシルのスタートとなりました。
≪ワイン造りと食への情熱≫
ドメーヌ・レ・ルシルは、マッティア氏のルーツの教えに従い、無添加・非介入の自然な醸造を実践しています。
- 畑の多様性: 現在は、オーヴェルニュの畑に加え、ラングドック=ルシヨンのエロー県(プゾル村、マルゴン村)にも約3.5ヘクタールの畑を借りるなど、活動の場を広げています。これは、彼が「その土地に敬意を持つ」という哲学のもと、それぞれの土地の土着品種のポテンシャルを最大限に引き出すためです。
- シェフのカーヴ: シャトーゲにあるカーヴの目の前には、ブドウ畑のほか、トマトやズッキーニ、ハーブといった野菜畑が広がり、まさに彼の食とワインの拠点となっています。シェフでもあるマッティア氏は、収穫したての素材を使って料理をふるまうことも大好きであり、オーヴェルニュの造り手たちからは親しみを込めて「オーヴェルニュで最高のイタリア人シェフ」と呼ばれています。
インポーター:bulbul


