≪背景:ブルゴーニュの経験とジュラへの回帰≫
ドメーヌ・デ・パンタクリンヌは、クラリス・ヌニェス氏とジャン=マリー・グランヴォー氏という若いカップルによって2022年に設立されました。ジュラ地方ル・ヴェルノワ生まれのジャン=マリー氏は、地元ジュラのワイン農家の家系に育ち、ボーヌで専門的な醸造栽培の資格を取得。その後、ボジョレーやマコネ、さらにはカナダでの経験を積みました。
彼のキャリアで最も特筆すべきは、ジュヴレ・シャンベルタンのトップ生産者であり、ビオディヴァンのメンバーでもあるジャン・ルイ・トラペ(Jean-Louis Trapet)氏のもとで6年間、右腕としてブドウ畑とカーヴの管理を一任されていたことです。この経験が、後のドメーヌでのビオディナミ実践の基礎となりました。
一方、クラリス氏は農業工学の学位を持ち、ブドウ栽培を含むさまざまな分野で経験を積んだ後、ワイナリーの管理面を担っています。外部での経験を積んだ二人が、ワインのルーツであるジュラに戻ることを決意し、パネシエールでブドウ畑を引き継ぎました。
≪哲学:「健康なブドウ」が全て≫
二人のワイン造りの哲学はシンプルかつ深いものです。
彼らは、ナチュラルワインを造る仕事において、「何よりもまず天候や変化する気候、土壌の生命を考慮しながらブドウ畑で働き、健康なブドウを収穫することが何より大切」だと語ります。なぜなら、健康なブドウであればあるほど発酵は順調に進み、その年のテロワールを明確に反映したワイン造りが可能になるからです。
- ビオディナミの実践: 畑は取得後すぐに有機農業(AB)への転換を開始し、ビオディナミ栽培を実践。バイオダイナミック調合剤や植物療法を用い、土壌とブドウの木の生命力を最大限に高めることに注力しています。
- テロワールへの敬意: 畑はシャトー=シャロンのすぐ南に位置し、リアス期のマルヌ・イリゼなどの古い土壌が広がっています。この石灰質と泥灰岩が混ざったテロワールが、彼らのワインに素晴らしいミネラル感と複雑性を与えています。
≪ドメーヌ名の由来と展望≫
ドメーヌ名である「パンタクリンヌ(Pentacrines)」は、彼らのリアス期の古い畑から見つかる星形のウミユリ科の古代植物の化石に由来します。この名前は、数百万年の時を超えたテロワールの歴史と、生物多様性を尊重し、この土地の景観とブドウ畑を形作っていきたいというジャン=マリー氏とクラリス氏の想いを象徴しています。
2022年の設立から畑を5ヘクタールに拡大し、ジュラの伝統品種であるシャルドネ、サヴァニャン、そして土着品種のプールサール、トゥルソーなどを手掛ける彼らは、ジュラワインの未来を担う期待のドメーヌとして注目を集めています。
インポーター:bulbul


