
≪詳細・歴史≫
イタリア北部、トレンティーノ=アルト・アディジェ州の山深いチェンブラ渓谷(Valle di Cembra)に位置するザノテッリは、1860年創業の歴史ある家族経営のワイナリーです。彼らはこの地で代々ブドウ栽培を続けてきた名家であり、150年以上にわたりこの険しい土地のテロワールを表現するワイン造りに情熱を注いできました。
転機が訪れたのは、現在の4代目の兄弟たち(兄弟と従兄弟のチーム)が先祖の意志を継いだときです。世代交代を機に、それまで栽培したブドウを協同組合などに販売していたスタイルから、自社での瓶詰めをスタート。父から受け継いだ伝統的なスタイルを尊重しつつも、次世代の新しい感性や技術を取り入れ、独創的なオリジナルワインを生み出しています。その品質は初リリース後ほどなくして各国で高い評価を受け、「山岳ワイン」のスペシャリストとしての地位を確立しました。
≪テロワール:英雄的ブドウ栽培の地≫
ザノテッリのブドウ畑は、チェンブラ渓谷の標高500mから850mという高所に点在しています。
- 急斜面と段々畑: 畑は機械化が全く不可能なほどの急斜面にあり、700キロメートルにも及ぶ石垣で支えられた段々畑(テラス)が連なります。彼らはこの険しい斜面を自分たちの足で歩き、ブドウの苗木と向き合いながら丹念に畑作業を行うという、まさに「英雄的ブドウ栽培(Viticoltura Eroica)」を実践しています。
- 土壌: 土壌は、かつてローマ人が「皇帝の高貴な石」と呼んだ、火山由来の斑岩(Porfirico)を主成分とし、砂や砂利が混じり合う複雑な構成です。この特殊な斑岩土壌が、ワインに独特のミネラル感と骨格を与えます。
- ミクロクリマ: 高標高と山岳気候がもたらす強い昼夜の寒暖差が最大の鍵です。この環境がブドウの酸を保ち、アロマ成分の蓄積を促すため、「高いアロマときめ細やかな良質の酸」を持つワインが生まれます。
≪醸造哲学とワインの個性≫
ザノテッリは、この険しい土地に最適なクローン選抜を行い、品種の個性とミクロクリマ(局地的な気候)を素直に体現したワイン造りを目指しています。
持続可能な農法を実践し、収穫は全て手摘みで行われます。醸造においては、白ワインのスペシャリストとして、ミュラー・トゥルガウ、リースリング、ケルナー、ピノ・グリージョといった芳醇な「山岳系白ブドウ」のポテンシャルを最大限に引き出しています。
特に、瓶内二次発酵のTrentodoc(トレント・ドック)製法のスパークリングワインは彼らのハイライトの一つであり、この渓谷のミネラルと酸がエレガントな泡に凝縮されています。
彼らのラベルに描かれているのは、ブドウの枝を支えに結びつけるために使われた「ラ・ストローパ」(ヤナギの小枝)。これは、昔ながらのブドウ栽培と、ブドウの木と人との強い結びつきを象徴しており、土地への深い敬意を表しています。

インポーター:ラ・グリュー




