コート・ルース

≪歴史と「赤みを帯びた斜面」への回帰≫

コート・ルースは、政治学を学んでいた時代に出会ったマリエル氏とニコラ氏のフェラン夫妻によって、2014年に設立されました。もともと自然や農業の世界に情熱を持っていた二人は、サヴォワの祖父母の姿に倣い、農民の道に進むことを決意します。

特にニコラ氏は、ブルゴーニュのヴォーヌ・ロマネにあるドメーヌ・ジャン=ピエール・グザールでワイン造りに携わった経験や、地元のビオ生産者であるパスカル&アニック・ケナールのもとで経験を積み、自らの手でワインを造る決意を固めます。

2013年末、サヴォワの歴史的なワイン産地であるサン=ジャン=ド=ラ=ポルト(Saint-Jean-de-la-Porte)の急斜面にある畑を借り受けてドメーヌをスタート。ドメーヌ名である「コート・ルース」は、彼らが最初に手に入れたジャケール畑「シャンプルー(Champroux)」の赤みを帯びた粘土質土壌と急斜面という特徴に由来しています。

≪サヴォワの山岳テロワールと哲学≫

フェラン夫妻が手がける約6ヘクタールの畑は、南東向き(傾斜15〜45%)の急斜面に広がり、サヴォワの山岳地帯のテロワールを最大限に表現しています。

  • 複雑な土壌: 標高350〜600mに位置する畑は、粘土石灰質をベースに頁岩質(けつがんしつ)の構造を持っています。さらに、約2万年前の氷河融解によるモレーン(堆積物)が混じり合い、近隣の山々から流れ着いた砂岩や石英といった硬質な岩石の要素が加わることで、ワインに豊かなミネラルと骨格を与えます。
  • 栽培への信念: 彼らの信条は「良いワインは80%以上の畑仕事から生まれる」というものです。人の手が行き届く規模で、自然や製品を尊重した「農民的」かつ「職人的」なワイン造りを追求。
  • ビオディナミの実践: 畑では有機農法とビオディナミを実践し、土壌の生命力を高めています。

≪醸造とスタイル:テロワールをダイレクトに映す無添加ワイン≫

ブルゴーニュで学んだ経験を活かし、夫妻は醸造においては最小限の介入に徹しています。

  • 無添加: 亜硫酸塩や添加物を一切使用せず、野生酵母を用いて発酵させます。これにより、ミレジムごとに変化する自然の力をそのまま受け入れ、サヴォワのテロワールと土着品種の可能性をダイレクトに映し出すワイン造りを目指しています。
  • 品種: ジャケール(白)、アルテス(白)、モンデュース(赤)といったサヴォワの土着品種を中心に栽培。特に南東向きの斜面は病気に強く、酸が残りやすいというテロワールの特性を活かし、フレッシュさとミネラル感に富んだエレガントなワインを生み出しています。

インポーター:bulbul

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