
自由で純粋な「ブドウの共和国」:グレープリパブリックが創る日本ワインの未来
山形県南陽市。100年以上のブドウ栽培の歴史を持つこの地に、2017年、ひときわ鮮やかな存在感を放つワイナリーが誕生しました。その名は「グレープリパブリック」。
彼らが掲げるのは、“Made of 100% Grapes.” という極めてシンプルかつ力強い哲学です。
耕作放棄地を、希望のテロワールへ
南陽市の美しい風景の裏側には、農家の高齢化による耕作放棄地の増加という課題がありました。グレープリパブリックは、この地の「寒暖差」「強い風」「水はけのよい石灰質」というブドウ栽培の聖地としてのポテンシャルを再発見し、放置されていた畑を次々と再生させています。
自社農園では、除草剤や殺虫剤、肥料さえも一切使用しません。見栄えを重視する生食用ブドウとは異なり、ワインのために「味と糖度」だけを追求した、生命力あふれるブドウを育てています。
国内最大級、17基の「アンフォラ」が刻む時
グレープリパブリックを象徴する風景が、醸造所に整然と並ぶ陶器の壺**「アンフォラ」**です。スペインから直輸入されたこの壺を地中に埋め、自然の温度変化の中でブドウを自発的に発酵させる古代の製法を現代に蘇らせました。
ステンレス容器も併用しますが、彼らのスタイルの核となるのはこのアンフォラ。「ブドウそのものよりブドウっぽい」と称されるその味わいは、補糖や補酸、酸化防止剤を一切加えない「何ひとつ足さない」勇気から生まれています。
日本ワインの「繊細さ」を武器にする
「日本には厳格なワイン法がない。だからこそ、自由で個性的なワインが造れる」 彼らは、日本の生食ブドウ文化が育んできた「繊細さ」を弱点ではなく、世界に誇るべき強みだと考えています。
フレッシュな果実味、心地よいミネラル感、そして五感を揺さぶる香り。それらは重厚な海外ワインにはない、日本独自の「農作物としてのワイン」の姿です。
地域とともに歩む「10万本」の夢
2015年にわずか100kgの収穫から始まった物語は、地域の契約農家との深い信頼関係によって、今や年間10万本規模の生産を目指すまでに成長しました。一過性の流行ではない、南陽市の新しい文化としてのワイン造り。彼らのボトルには、この土地の風と光、そして人々の情熱がそのまま詰め込まれています。
インポーター:グレープリパブリック









