≪名前の由来と哲学≫
「イル・シニョール・クルツ」という名前は、作家ジョゼフ・コンラッドの古典文学『闇の奥(Heart of Darkness)』に登場する謎めいた主要人物、カーツ(Kurtz)氏から着想を得ています。
生産者であるマルコ・デュランテ氏にとって、クルツは「自然そのもの、エネルギー、魔力」の勇気ある体現者です。彼は、自然を籠の中に閉じ込めること(=ワインを馴化させること)を嫌い、「自然が与えたすべてのエネルギーを携えて自由であるワインを造りたい」と語ります。この哲学こそが、彼の妥協のない自然派ワイン造りの動機となっています。
≪異色の経歴とワインへの目覚め≫
マルコ・デュランテ氏は、20年以上にわたりワインの世界を探求し、テイスターや啓蒙家として活動していましたが、「日々の仕事の束縛」を捨て、自身の真の道である妥協のない生産へと踏み出しました。
彼は、ウンブリアの著名な自然派生産者であるコネスタビレ・デッラ・スタッファ(Conestabile della Staffa)のダニーロ・マルクッチ氏の門を叩き、その指導の下でワイン造りを学びました。
彼のプロジェクトの中心地は、トラジメーノ湖(Lago Trasimeno)のほとりにあるヴァルピーナ村ですが、彼は一つの場所に留まらず、「中央イタリアの小さな地理における、その他の挑戦的な場所」でも耕作し、常に自身の限界を押し広げようとしています。
≪ワインの特徴≫
イル・シニョール・クルツのワインは、予測可能性や陳腐さを嫌うマルコ氏の感性が反映されています。その結果、生まれるワインは、フレッシュでジューシー、そして自発的なエネルギーに満ちています。単なるエレガントさだけでなく、信じられないほどの「原始的な」エネルギーを内包しており、ウンブリアの歴史的なブドウとテロワールに新しい解釈を与えています。
Collaborations (コラボレーション)やDo. T.E.といった共同プロジェクトにも意欲的に取り組み、常に新しい表現を追求するマルコ・デュランテ氏の「闇の奥」からの叫びのようなワインに、ぜひご注目ください。


