生産者概要:ジュラの奇人が率いる革新的なネゴシアン部門
アンヌ・エ・ジャン=フランソワ・ガヌヴァは、ジュラ地方を代表する自然派の巨匠、ジャン=フランソワ・ガヌヴァ氏と彼の妹アンヌ・ガヌヴァ氏が共同で立ち上げたネゴシアン(ワイン商)部門です。
ジャン=フランソワ・ガヌヴァ氏が代々受け継ぐドメーヌ・ガヌヴァは1650年まで歴史を遡ることができ、現在は14代目にあたります。彼はかつてブルゴーニュのシャサーニュ・モンラッシェにあるジャン・マルク・モレで研鑽を積み、その経験から「ジュラで最もブルゴーニュ的なヴィニュロン」とも評されます。
本部門は、ドメーヌが培ってきたビオディナミの哲学と高い醸造技術を基盤とし、自由で斬新な発想に基づく唯一無二のキュヴェを世に送り出しています。発売と同時に本国フランスで即完売となるファン垂涎の人気を博しており、ジュラワインの新たな可能性を提示する存在です。
設立背景とネゴシアン部門の役割
設立の経緯
ネゴシアン部門は2013年に設立されました。これは、当時のジュラ地方が気候変動による収量低下に直面したことが直接的なきっかけです。2012年は霜害、2013年は春の雨によりブドウの結実が半減し、ドメーヌ単独では極少量しかワインを生産できない状況でした。
役割とテロワールの拡張
収量の問題を補い、安定した供給と革新的なワイン造りを実現するため、彼らはネゴシアンとしてジュラ以外の優良なブドウを買い付け始めました。
- 自社所有畑(ネゴシアン部門): ボジョレー地方の醸造家の友人から、ブルーイ、フルーリー、モルゴンといったクリュ・デュ・ボジョレーの畑1.5haを購入し、ガメイを中心としたブドウを確保しています。
- 買い付けブドウ: 地元ジュラに加え、サヴォワ地区のドメーヌ・ジャッキーノやドメーヌ・デュ・セリエ・デ・クレなど、ビオロジックやビオディナミで栽培されたブドウのみを購入しています。
これにより、ジュラと他産地のブドウをブレンドするという柔軟な発想が可能となり、一部のキュヴェは**『ヴァン・ド・フランス』**というカテゴリーでリリースされています。
ブドウ栽培とテロワール:ビオディナミの徹底
アンヌ・エ・ジャン=フランソワ・ガヌヴァが使用するブドウは、ドメーヌの自社畑(ジュラ・ロタリエ村、約8.5ha)のブドウと同様に、ビオディナミまたはビオロジックで厳格に管理された畑のものに限られています。
- 品種の選定: ジュラの固有品種だけでなく、土着品種に着目し、その個性を最大限に引き出すことを重視しています。
- 古代品種の活用: ボジョレーのガメイだけでなく、ジュラの古代品種(プチ・ベクラン、グロ・ベクラン、グーシュ、アルガン、ムロン・ア・クー・ルージュなど)をブレンドに使用することで、複雑性と深みのある独自のスタイルを生み出しています。
醸造哲学:極限の自然派ワイン造り
彼らのワイン造りの最大の特徴は、**「極限まで干渉しない」**という徹底した自然派の哲学です。
醸造工程
- ブドウの運搬: 自社所有ではない畑のブドウも、すべてブドウの状態(果実)でロタリエにあるドメーヌまで運ばれます。
- 発酵: 野生酵母を使用し、できる限り人的介入を排除した方法で発酵を促します。赤ワインでは、全房(除梗しないブドウ)の使用や、マセラシオン・セミ・カルボニックが用いられることがあります。
- 熟成: 昔ながらの木樽(トロンコニック木樽、ドゥミミュイなど)に加え、一部のキュヴェではイタリア製のアンフォラ(素焼きの甕)での熟成も行い、ワインに独特の質感とミネラル感を与えています。
亜硫酸(SO2)について
全てのキュヴェでSO2(亜硫酸)は無添加で造られており、ピュアで優しいブドウの質感、旨味を表現することに注力しています。



インポーター: ラフィネ




