フランチェスコ・ジェンコ

畑とセラーを繋ぐ、究極の現場主義エノロゴ

サン・ファビアーノ・カルチナイアの品質を支え、自らもシチリアで革新的なワインを手掛けるフランチェスコ・ジェンコ氏。彼は、現代のイタリアワイン界において「現場(畑)に最も近い醸造家」の一人として知られています。

1. 「エノロゴ・イン・ヴィーニャ(畑の醸造家)」という哲学

ジェンコ氏の活動を象徴する言葉が、自身のプロジェクト名でもある「エノロゴ・イン・ヴィーニャ(Enologo in Vigna)」です。 通常、醸造家(エノロゴ)はセラー内での作業に集中しがちですが、彼は「素晴らしいワインはセラーではなく、畑で生まれる」という信念を持っています。ブドウの樹一本一本の状態を把握し、収穫のタイミングから醸造、瓶詰めまでを一貫して「畑の延長線上」として捉えるスタイルが、彼の造るワインに唯一無二の生命力を与えています。

2. サン・ファビアーノ・カルチナイアとの関わり

トスカーナの名門「サン・ファビアーノ・カルチナイア」においても、彼の卓越した技術とテロワールへの深い理解が活かされています。 かつて伝説的な醸造家カルロ・フェッリーニ氏が築いた基盤を受け継ぎ、現当主ロッコ・セリオ氏と共に、「エレガンスと誠実さ」を追求。2009年からの有機栽培への転換においても、畑のポテンシャルを最大限に引き出す彼の知見が大きな役割を果たしてきました。

3. シチリアでの独自の挑戦

彼が自身の名を冠してリリースするシチリアのワイン(エノロゴ・イン・ヴィーニャ シリーズ)は、マルサラ近郊の超小規模なブティックワイナリーで造られています。

  • 徹底した自然派アプローチ: 無濾過、無清澄、そして亜硫酸(SO2)添加をゼロに抑えるなど、ブドウ本来の力を信じたワイン造り。
  • 品種の個性を引き出す: カタラットやグリッロ(白)、ネロ・ダーヴォラ(赤)といったシチリアの土着品種を使用し、数ヶ月に及ぶマセレーション(果皮浸漬)を行うことで、驚くほど複雑で奥行きのある味わいを生み出しています。

4. ワインのスタイル

ジェンコ氏が関わるワインに共通するのは、「純粋さ(ピュアさ)」です。 作為的な化粧を施すのではなく、その土地の空気や土壌のエネルギーをそのままボトルに閉じ込めたような味わい。特にシチリアのシリーズでは、野生的な力強さと、バラやスパイスを思わせる繊細なアロマが同居する、非常にアーティスティックな仕上がりとなっています。

インポーター:トトトレード

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