≪異色の経歴:20年超の医療研究を経てルーツへ≫
マニュエル・ジラール氏は、フランス東部ドゥー県で、赤毛の乳牛(モンベリアルド種)のブリーダーの家に生まれました。幼少期から農作業を手伝い、常に自然と農業の世界に身を置いていましたが、キャリアは別の道に進みます。
彼はバイオテクノロジーの研究を修めた後、20年以上にわたりアメリカの巨大な生物医学企業で、心臓病学分野の臨床研究に取り組んできました。しかし、半生を医療分野で過ごしたのち、「自らのルーツである自然と共生する生き方」を求めて、2019年にワイン造りへの転身を決意します。
彼は仕事と並行してワイン造りに必要な経営・管理の免状(BPREA)を取得し、ブルゴーニュのドメーヌ・フィリップ・ガヴィネ(ニュイ・サン・ジョルジュ)で経験を積み、その後2020年からはボージョレの自然派の代表格、ドメーヌ・レ・ベルトラン(フルーリー)で研修を行い、有機栽培やビオディナミ、そして自然な醸造哲学を深く学びました。
≪ドメーヌの設立と哲学≫
2021年1月、マニュエル氏はボージョレの銘醸地、フルーリーとボージョレ・ブラン(ランシエ村)に最初の区画(計1.06ha)を取得。カーヴをモルゴンの偉大な自然派、マルセル・ラピエール氏のカーヴの隣に設立するという、最高の環境でドメーヌをスタートさせました。
彼はキャリアの大部分を健康分野で過ごしたことから、生産者、消費者、そして環境を尊重しないブドウ栽培や醸造を実践することは考えられない、という強い信念を持っています。
- 自然な栽培・醸造: 設立と同時に畑を有機栽培に転換。ビオディナミ農法を採用し、除草剤は一切使用せず、つるはしでの表面耕起を行っています。植物抽出物(煎じ薬、肥料)やエッセンシャルオイル(スイートオレンジ、オレガノ、タイムなど)を用い、化学物質の使用を極限まで抑制します。
- 無添加ワイン: 醸造過程では濾過や清澄などのプロセスを一切行わず、無添加のワインを造ることに徹しています。
≪畑とワイン≫
ドメーヌは、フルーリー(ガメイ)、ランシエ(シャルドネ)、そして2021年の初収穫後に引き継いだモルゴン(ガメイ)の区画を含め、現在1.7haの畑を所有しています。土壌は主に花崗岩で構成されています。
エリック氏と同じくわずかな畑面積のため、彼のワインは非常に少量生産ですが、バイオテクノロジーのスペシャリストとしての豊富な知識と精度、そして自然派ワインの世界で培った情熱と陽気さが融合した、クリアでテロワールを表現したワインを生み出しています。
現在、赤2種(フルーリー、モルゴン)、白1種(ボーゾレ・ブラン)の合計3つのキュヴェを展開しており、その「Initiatique Fleurie(イニシアティーク・フルーリー)」や「Morgon Psychédélique(モルゴン・プシケデリック)」といったワインは、既に世界中で高い評価を受け始めています。
インポーター:bulbul




