≪歴史:千年の時を超え、現代に息づくスピノーラ家の伝統≫
カステッロ・ディ・タッサローロは、イタリア北西部ピエモンテ州に位置し、白ワインの銘酒「ガヴィ」の優良生産者として知られています。その歴史は極めて古く、オーナーのスピノーラ家は10世紀まで遡るジェノヴァの名門貴族であり、14世紀からは渓谷にそびえるカステッロ(城)を拠点としてきました。かつては中世の政治・経済を司ったこの名家が、現代ではワイン造りを通じて自然との調和を追求しています。
元映画監督であった先代ラオロ氏の後を継いだマッシミリアーナ夫妻は、この歴史あるワイナリーをビオディナミ農法へと転換。2008年に有機認証を取得し、今や保守的な産地であるガヴィにおいて、模範的なビオディナミの旗手として国内外から注目と尊敬を集めています。畑作業にはフランス産の馬(コムトワ種)を使うなど、伝統的な手法を尊重しつつ、自然の力と月の暦に従った持続可能な農業を徹底しています。
≪テロワールとワインの特徴:鉄分豊富な粘土質土壌≫
カステッロに隣接する17ヘクタールの畑には、ガヴィの主要品種であるコルテーゼが植えられています。この土地の土壌は鉄分の豊富な粘土質が特徴です。
彼らの造るガヴィは、コルテーゼが持つ青リンゴや柑橘系のクリーンな香りに、ミネラル感が加わった硬質な味わいが特徴で、しっかりとした酸が全体を引き締めます。魚料理や野菜料理との相性は抜群です。
≪意欲的なキュヴェへの挑戦≫
カステッロ・ディ・タッサローロは、ガヴィの新たな可能性を示す意欲的なワイン造りにも挑戦しています。
- フルボディのガヴィ: 「イル・カステッロ」や「アルボリーナ」などのキュヴェでは、樽発酵と熟成を導入することで、骨格のしっかりとしたフルボディの白ワインを生み出し、明確なテロワールの個性を表現しています。特に「イル・カステッロ」は樹齢40年の古木から収穫されたブドウを使用し、低温で長時間かけて自然発酵させることで、恰幅の良いストラクチャーを実現しています。
- SO2無添加ワイン: 保守的な産地でありながら、亜硫酸(SO2)無添加のワイン(例:「Gavi No Sulphites」)も手掛けており、ナチュラルワインの愛好家からも高い評価を得ています。中にはアンフォラ(素焼きの壺)で発酵・熟成させるキュヴェ「ガヴィ・オンブラ」もあり、まろやかでピュアな自然の味わいを追求しています。
インポーター:ミレジム



