
カペリティフは、南アフリカのスワートランド地方で造られる、唯一無二のフレーバード・ワイン(ヴェルモット)です。南アフリカでは1800年代後半、金やダイヤモンドの発掘で富が築かれていた時代に、ヴェルモットは食前酒(アペリティフ)として広く親しまれていました。中でも、1906年にケープタウン・エリアで誕生したオリジナルレシピの「カペリティフ」は特に人気を博しました。
しかし、その後発生した財産抗争により、キュヴェの背景や大切なレシピが消失し、このヴェルモットは80年もの間「ゴースト・イングレディエント(幽霊の材料)」と呼ばれる幻の存在となっていました。
復活と造り手
この伝説的なヴェルモットを復活させたのが、デンマーク人のミクソロジスト(独創的なカクテルを生み出す職人)であるラース・シュミット氏と、スワートランドの銘ワイン生産者であるアディ・バーデンホースト氏です。2014年、二人は苦心の末に当時のレシピの再現に成功し、「カペリティフ」は見事な復活を遂げました。
造り手であるアディ・バーデンホースト氏は、南アフリカのワイン造りを牽引するパイオニア的存在であり、「A.A.バーデンホースト」の当主でもあります。彼は、自身のワイン造りのポリシーであるナチュラルなアプローチを用い、彼の真骨頂である「個性とカッコよさ」を追求したこのヴェルモットを手掛けています。
唯一無二の製法とボタニカル
カペリティフのベースとなるのは、スワートランドの山の中にある農場「Kalmoesfontein/カルモスフォンテーン」で育つ古木のブッシュヴァイン(株仕立て/自根)のシュナン・ブランとマスカットから造られた白ワインです。
このベースワインに、自家農園で大切に育てられた約50種類ものボタニカル(ハーブ、フレッシュフルーツ、花、苦みのある根っこ、樹皮など)と数種類のスパイスを浸漬して造られます。毎年、気候に最適な季節のボタニカルを用いるため、キュヴェごとにロット・ナンバーが付けられ、極少量生産のためラベルにはシリアル・ナンバーが付いています。
特に、毎年使用されるボタニカルの中には、西ケープ州にのみ自生する野生の植生地域“フィンボス”に見られる、薬用として用いられてきた強い芳香を放つハーブが使われています。このフィンボスが他のボタニカルと絶妙に溶け合うことで、カペリティフは他のヴェルモットにはない独特の個性的なフレーバーを帯び、南アフリカの「バイオダイバーシティ(生物多様性)」を表現しています。醸造は、手摘みで収穫されたブドウをフレンチオークの古樽で野生酵母による自然発酵と熟成を経て、前年のリザーヴワインとアッサンブラージュされ、SO2無添加で造られています。
インポーター: ラフィネ







