「ワインを飲むと、なぜか頭が痛くなる…」
そんな経験、ありませんか?
長年、その原因は「亜硫酸塩(酸化防止剤)」だと言われてきました。実際、多くのワインには保存や酸化防止のために微量の亜硫酸塩が含まれています。
しかし、近年の研究では、亜硫酸塩が頭痛の主な原因ではない可能性が指摘され始めています。
では、あなたの頭痛の“本当の犯人”は…?
アルコールが引き起こす“血管拡張”と頭痛
まず、アルコールそのものが頭痛を引き起こす要素を持っています。
アルコールは体内で血管を拡張させる作用があり、これが偏頭痛などを引き起こすきっかけになることがあります。
ここに加わってくるのが、「生体アミン」と呼ばれる成分。
具体的には、ヒスタミンやチラミンといった物質です。
赤ワインに多く含まれる“生体アミン”
このヒスタミンやチラミン、実はワインの中でも赤ワインに多く含まれていることが知られています。
- ヒスタミン:免疫やアレルギー反応に関与する物質。血管をさらに拡張させ、炎症やかゆみの原因にもなる。
- チラミン:血圧を上昇させる作用があり、偏頭痛との関連も報告されている。
これらの成分が、アルコールによって広がった血管に作用することで、頭痛をさらに悪化させると考えられています。
さらに注目される成分「ケルセチン」とは?
最近、さらに注目されているのが、赤ワインに多く含まれる「ケルセチン」というポリフェノールの一種です。
ケルセチンは本来、抗酸化作用があり、健康に良いとされる成分ですが、
特定の条件(アルコールとの組み合わせや個人差)によって、体内で毒性を発揮する可能性があることがわかってきました。
一部の研究では、ケルセチンがアルコールと一緒に代謝されることで、偏頭痛の引き金になる可能性があるとも言われています。
頭痛を避けるためにできること
赤ワインによる頭痛を防ぐためには、以下のような対策が有効です。
- 自分の体質に合ったワインを選ぶ(白ワインの方がアミン量は少ない傾向)
- 飲む前に軽く食事を摂る(アルコールの吸収を穏やかにする)
- ヒスタミンやチラミンを多く含む食品と一緒に摂取しない → 例えば、サラミや熟成チーズ(ブルーチーズ、チェダーなど)、燻製魚、納豆、チョコレートなど。これらはワインとの組み合わせで頭痛を悪化させることがあります。
- 飲みすぎない(当たり前ですが…)
- ヒスタミンやチラミンに敏感な人は、自分に合うワインを少量ずつ試すのがベスト
ナチュラルワインは頭痛が出にくい? その真相
最近では「ナチュラルワインなら頭が痛くならない」と言う人もいますが、実は必ずしもそうとは限りません。
ナチュラルワインは以下のような特徴を持っています:
- 酵母や添加物を極力使わず、自然のままに発酵
- 濾過や清澄を行わず、ぶどうや微生物の個性を活かす造り方
- 亜硫酸塩の添加量も非常に少ない(または不使用)
このような「自然な造り」は身体に優しそうに感じられますが、発酵が進むことでヒスタミンやチラミンが生成されるリスクもあります。
つまり、ナチュラルワイン=低ヒスタミンとは限らないのです。
ただし、ナチュラルワインは生産者ごとの違いが非常に大きく、ぶどう品種や製法によってアミン類の含有量にバラつきがあるため、
「この生産者のワインだと頭が痛くならない」
「この品種は平気だった」
といったように、自分の体質に合った1本に出会える可能性も高いのが魅力です。
まとめ
ワインの頭痛の原因は、かつて信じられていた“亜硫酸塩”だけではありません。
アルコールによる血管拡張、生体アミン(ヒスタミン・チラミン)、さらにはポリフェノールのケルセチンなど、複数の要素が複雑に関係していることがわかってきました。
「ワインは好きだけど、頭が痛くなるのが悩み…」という方は、ワインの種類や飲み方を少し変えてみると、
もっと快適にワインライフを楽しめるかもしれません。

